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現代ビジネス 1月27日(木) |
胴元の暴力団摘発は諦めて決着する大相撲・野球賭博事件の禍根 大山鳴動して鼠二匹/伊藤 博敏 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1975 大相撲の野球賭博問題を捜査していた警視庁組織犯罪対策3課は、1月26日、賭博(賭博開帳図利)容疑で元十両の古市(古市貞秀・34)、元幕下の梓弓(山本俊作・35)らを逮捕した。 大相撲が野球賭博に汚染されていることが発覚したのは昨年6月だった。以来、日本相撲協会は特別調査委員会(座長・伊藤滋早大教授)を発足させて全容解明に努め、警視庁は賭博をめぐる恐喝事件で古市の兄の古市満朝被告(38)と暴力団関係者らを逮捕するとともに、賭博捜査に当たっていた。 大相撲と賭博と暴力団---。格好のテーマを見つけてマスコミは、連日、報道合戦を繰り広げた。その勢いに押されるように相撲協会は、大嶽親方(元関脇・貴闘力)、大関・琴光喜らを解雇。野球賭博に関わるか暴力団との関係が判明した親方と力士30数名に、降格、出場停止、けん責などの処分を下した。 賭博罪での立件で「角界汚染」には幕を引かれた形になる。しかし、その元凶である野球賭博の胴元にはメスが入っていない。賭け事の好きな力士は、ほとぼりが冷めた頃、また賭け始めるだろう。 野球賭博の胴元は、ほぼ例外なく暴力団関係者である。胴元は、ハンデ師を使って試合ごとにハンデを決め、それを仲介役に伝え、賭客は、そのハンデを考慮のうえで勝負をする。 野球が行われるのは、1日にセパ両リーグで6試合。何試合賭けてもいいが、試合のない月曜日に精算するのがルール。1万円の小口客もいれば、数十万円、数百万円を賭ける大口もいて、精算の月曜日には数十億円が動くのだという。 警視庁捜査の目的は、野球賭博のシステムを解明、胴元に行き着き、暴力団の資金ルートを断つことにあった。胴元の"テラ銭"は1割。ハンデの巧拙で胴元が負けることもあるが、長く主催すれば確実なもうけをもたらす"シノギ"である。 警視庁は、梓弓の「名古屋の弘道会系列の元組長が胴元で、その人に誘われて始めたが、(発覚の)1年前に亡くなった」という供述をもとに、組事務所を家宅捜索するなど、胴元の摘発に意欲を見せていた。しかし、本人が死去しているのでこのルートは事件にできない。 結局、仲介役の古市、梓弓といった力士の口は堅く、それ以上の「胴元証言」を得ることはできなかった。 また、賭博罪の立件は難しい。胴元と仲介役と賭客の三者を特定し、「賭博をしました」という"自白"の供述を取ったうえで、賭け台帳、メモ、ハンデ表、携帯メール、通帳コピーといった証拠を押収、どの試合に誰がどれだけ賭けて、収支がどうだったかを裏付けなくてはならない。 今回、胴元に行き着かなかったために、仲介役の古市や梓弓を胴元に見立て、古市と口座管理の母親(63)、梓弓とその手伝いの元力士(29)を補佐役と見なし、摘発したのだった。 警視庁は、胴元同様、賭客も「どの試合にいくら」という詳細を明らかにすることができなかった。結果として悪質性を立証できる親方・力士がいないとして、10名弱を書類送検して終わらせる方針だ。 *** 胴元が漏らした「ホンネ」 *** 割を食ったのは、初期段階でターゲットにされて廃業、焼肉屋に転じた元大嶽親方と、解雇されたものの復帰を願う元琴光喜の2人、そしておそらくテラ銭の一部を受け取ったに過ぎない逮捕された仲介役である。 野球賭博をシノギとしていた暴力団関係者は、ホッと胸をなで下ろしている。胴元のひとりが本音を漏らす。 「警視庁が力士の携帯電話をすべて押収、ハンデ表なども残っていたと聞いて、少しビビった。でも、結局、立件できなかったのは、我々が証拠を残さない努力を重ねてきたからだろう。 これからはメールを残さず、決済は一部にあった振り込みは止め、すべて現金で手渡しにする。(言った言わないを防ぐための)メモや録音も決済のあとはすべて消去、アナログに徹すればいい。 これで、野球賭博は今シーズン開幕から再開できる。野球ファンなら賭けて観たい。客はいくらでもいる」 なんのことはない。大騒ぎした大相撲の野球賭博騒動は、胴元たちに「摘発されない方法」を"伝授"したことになる。 プロ野球に限らず、スポーツは暴力団の有力なシノギの道具である。高校野球、サッカー、相撲、格闘技、プロボクシングと、あらゆるスポーツが賭けの対象となる。 「夜の繁華街」にルートを持つ暴力団は、主にクラブ、スナック、料理屋といった飲食店人脈などを使って賭客を集め、スポーツを博打場にする。 「山口組(弘道会)壊滅作戦」を展開する警察庁にとって、弘道会の名も出た野球賭博の解明は、時宜にかなったもの。狙いは「暴力団がうごめく胴元」に絞られていた。 しかし、関係者の口は堅く証拠は残さない。苦肉の策が「仲介役を胴元に見立てた捜査」であり、この決着のつけ方は捜査員にとっても屈辱だろう。 胴元にどう切り込むのか---。 角界を使って失敗した捜査当局だが、経験を踏まえた次の摘発に期待したい。 |
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毎日新聞 1月26日(水) |
<野球賭博>放駒理事長「捜査見守りたい」 元力士ら逮捕で 大相撲の野球賭博事件で、阿武松部屋の元力士らが警視庁に逮捕されたことを受け、日本相撲協会の放駒理事長(元大関・魁傑)は26日、「協会としてはケリをつけている話。後は警察の捜査を見守りたい」と語った。 今回逮捕された元力士らは、協会在職中に解雇やけん責処分を受けている。放駒理事長は、処分を科していない協会員が新たに立件された場合の対応について問われると、「そんなことは考えていない」と述べた。 また、けん責にとどまった元幕下の藪下哲也容疑者(10年9月引退)が逮捕者に含まれていることについて、「本人が一番よく分かっているので、辞めていったということなのだろう」とした。 一方、多数の報道陣が駆け付けた阿武松部屋(千葉県習志野市)は、ひっそりとしたままだった。初場所後の休暇中で朝稽古(げいこ)もなく、買い物などのために力士が自転車で外出する姿が見られた程度。問い掛けには「知らない」と答えるか沈黙を貫くかで、事件への言及は避けていた。【大矢伸一、藤野智成】 |
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毎日新聞 1月26日(水) |
<野球賭博>05年から阿武松部屋で拡散 角界を激震させ、大関や親方の解雇や理事長交代にまで発展した野球賭博事件。賭博の舞台となったのは阿武松(おうのまつ)部屋だった。関係者によると、山本俊作容疑者(35)=元幕下・梓弓=が05年5月ごろに同部屋に持ち込み、最初は客だった同期入門の古市貞秀容疑者(34)=元十両・古市=に「自分で胴元をやった方がもうかる」と勧めたという。山本容疑者は聴取に暴力団組員の関与も供述しており、昨夏に「暴力団排除宣言」をした日本相撲協会は更なる試練にさらされそうだ。警視庁組織犯罪対策3課は同部屋を中心に角界に賭博が広まった経緯をさらに追及する。【川崎桂吾、前谷宏】 複数の阿武松部屋関係者は「最初に野球賭博を部屋に持ち込んだのは梓弓だった」と証言する。 山本容疑者は昨年11月、元大関・琴光喜関らへの恐喝罪に問われている元幕下・古市満朝被告(38)の公判の証人尋問に出席。知り合った暴力団組員から野球賭博を教わったことを明らかにした。そのうえで、賭博を巡る金銭を「(組員の関係者の)口座に振り込んでいた」と述べ、暴力団側への金の流れについて証言した。 捜査関係者によると、山本容疑者は06年夏場所後に引退したが、同部屋の床山(29)らを通じて賭博にかかわり続けたとみられる。この過程で、客の古市容疑者に自らが客から注文を取りまとめた方が金銭的なメリットがあると伝え、同部屋の藪下哲也容疑者(29)=元幕下・松緑、昨年9月引退=にも「おれはもう辞めるから、お前が自分でやればどうか」と伝え、胴元として独立させたという。 客だった同部屋関係者の一人は「最初は1、2万円を賭ける遊びのようなものだった」と振り返る。だが賭博は次第に阿武松部屋から角界全体に広がり、一度に数百万円を賭ける力士まで現れるようになったという。 組対3課は、元力士3人がそれぞれのルートで客に予想を募ったうえで、注文を取りまとめたとみている。一方で、複数の力士と契約していたトレーナーも胴元として賭博を開いていたとみており、捜査を進めている。 |
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時事通信 1月26日(水) |
口重い理事長ら=野球賭博事件での逮捕受け―相撲協会 大相撲の野球賭博事件で元力士ら4人が逮捕された26日午前、日本相撲協会の放駒理事長(元大関魁傑)は東京・両国国技館で「協会としては処分している。逮捕は残念だが、とやかくコメントしたくない」と厳しい表情で語った。 客として野球賭博に関わった現役力士が書類送検されることについても「まだ聞いていないので何とも言えない」。二所ノ関広報部長(元関脇金剛)も「(協会内で)相談してから」とコメントを避けた。 相撲協会は昨年9月、野球賭博に関与したとして当時の三段目力士・古市こと古市貞秀容疑者を解雇し、同松緑こと薮下哲也容疑者をけん責処分とした。薮下容疑者はその後引退。元梓弓こと山本俊作容疑者は事件発覚当時、すでに引退していた。 |